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生きるということ [Life]

思春期を筆頭に、人はなぜ自分がこの世に生まれてきたのか、という問いに一度はぶつかる。私は楽観的というかつきつめてその問いに向き合ったことはなかったけれど、大学に入る直前にそんなようなものを感じたことがあった。

世の中には、苦しんで苦しんで蔑ずまれて、日の目を見ずに死んでいく人がたくさんいる。そんなことを感じることもなく死んでいく子供たちがたくさんいる。うちの前の大通りには、そこここにストリートコミュニティがあり、車の中からふとみるとぼろきれの中に本当に小さな赤ちゃんがいたりして、ドキリとする。きっと路上で生まれたのだろう。大半の子供たちは下半身裸で(きっとおもらしをしたときに便利だからだと思う)、それゆえか足やおしりから血を流している子供たちを見ると、同じ子供を持つ母として心がズキンと痛む。

うちの裏には、これまた長いストリートコミュニティがあって、その一角は売春宿になっている。朝から晩まで、どう考えてもこの場所に不釣り合いな濃い化粧をした、まだ年のいかない女の子おばさんたちが両腕を組んで眉間にしわを寄せて立っている。その周りには子供たちが走り回っていて、きっとそのうちの何人かはこの恐ろしいまでに薄汚れたこの場所で、偶発的に生まれてきた子供たちなのだろうと思う。

ムンバイにいると、人はなぜ生まれてきたのか、という問いは愚問だと気づく。その問いに答えは何もない。売春宿で生まれた子供であろうと、ゆうに100kgはありそうな玉ねぎ袋を毎日頭上に乗せて働くだけの人であろうと、毎日毎日エレベータを上下に運転するだけの人であろうと、この国では、精一杯毎日を一生懸命生きている。お金がなくて食べるものにも困っている路上生活者だって、一生懸命止まっている車を一台一台叩いてお金をもらおうと必死である。とにかく自分と自分が愛する人たちを食べさせていかなければならない、という必死の思いで。そこに、私は人間の根源を見る。

私たちは、人間を超えた存在の意思によって(またはそれすら存在しないのかもしれないけど。でもムンバイの人はそこは神を感じていると思う)、それぞれのタイミングでこの世に生まれてきた。私たちの人生は、生まれ落ちた国であり、肌の色であり、両親であり、またそのタイミングであり、私たちが自分で決められたことはひとつもなく、その存在によってどこかで既に定められている。だから、私たちにできることは、自分がなぜ生まれてきたのかという問いを自分に問い続けることではなく、与えられた生を一生懸命生きることである。原始的な欲求が満たされた社会では、人間の思考がおかしな方向に向くからか、私たちの生の本質を見誤りがちだ。でも、定められた、一度きりしかない人生を、それが一体どんなものであったとしても、一生懸命生きる。それが私たちに与えられた宿題なのだと思う。

どんな子供でも、どんな親でも、生きていてほしい。ただただ、生きていてくれさえすればいい。幸せは、「そこ」にある。ムンバイの、ストリートで、スラムで暮らす子供たちや親子を見ていると、そんなことを思う。

写真は、年末デリーへ旅行に行った時のもの。デリーの歴史的建造物はあまりに素晴らしくて、すごい迫力で、一瞬我を忘れた。私、石像とか遺跡とかあんまり興味なかったんだけどな。

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コメント 2

圭子

Tomomiさんの言ってること、すご~くわかる!私も高校受験に失敗して同じような問いに向き合ったけど、今思うと贅沢な悩みだよね。そういうことを考える暇がないほど日々の生活でいっぱいいっぱいっていう人が世の中にどれほどいるのか?若気の至りですませていいのか複雑だけど、豊かな社会で生活しているからこそだとは思う。そういう若者はもっと広い世界を見る&知るべきだね。「生をまっとうする」、、、私も忘れないようにしないとな~。

歴史的建造物、本当に圧巻だろうね~。歴史の重みが感じられそう!
by 圭子 (2012-01-24 17:55) 

tomomi

その絶望なまでの苦しみに、少しでも思いを馳せてみると、絶望的な気持ちになる。私だったら、そんな苦しみに向き合ってどうやって生き続けることができるのだろうか、と、少し思っては自分の弱さを思い知る。インド人はさ、言い訳がましいとか、思うところはいろいろあるけど(苦笑)、無表情に、苦しみを感じていたとしてもそれに目をつむって、前に進む(というか淡々と動く)気概というか強さがあるなぁ。それは、そういう強さがない自分としては、すごいことだなぁと思うよ。
by tomomi (2012-01-25 00:57) 

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