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運転手さんの生活 [Life]

今日は、うちの運転手さんについて書いてみようと思う。

うちの運転手さんは26歳の男性で、昔書いたけど、アジア一大きいスラムといわれているDharaviに住んでいる。結婚してまだ4カ月の新婚ほやほやで、インドの一番南にあるカニャクマリというところの出身である。出身といってもご両親がそこの村からDharaviに出てきたので、彼自身はムンバイで生まれ、育ったらしい。3人兄弟の真ん中で、お父さんは旅行会社の運転手。お母さんは主婦。家族全員キリスト教徒で、お父さんは非常に厳しい人だったので、かけごとは一切しないし、「人として」ちゃんとした人になることを、厳しく刷り込まれていると、私は思う。

奥さんも同じ村の人らしく、ムンバイでは珍しい恋愛結婚である。いくら大都会のムンバイといっても、結婚は両家が、出自を踏まえて探してきて、調整後に決めるもの(結納金は女性の家族が男性に払うもので、法律で禁じられてはいるもののまだまだ一般的に莫大な結納金を要求する男性家族が多い)、という風潮が強く、恋愛結婚をした結果、女性側のご両親がその結婚に反対して絶縁関係になってしまうということはよくあること。うちの運転手さんのケースもそれによく似ていて、縁は切れていないようだけど、奥さんのご両親は彼とは口をきいてくれない、と嘆いていた。奥さんはまだ21歳で、結婚を機にカニャクマリから出てきたばっかりなので、ムンバイで使われているヒンディ語やマラティ語は分からず、お友達も全くいないらしい。でも、彼は奥さんの事が大好きで大好きで仕方がない、といった様子で、料理もできない彼女に代ってご飯を作り、お昼ごはんも食べず(お金を節約するため)、一生懸命彼女のために早く帰る(夕方仕事がない日は早く帰すようにしている)。この間なんて携帯電話を奥さんが誤って水の中に落としてしまったらしく、まったく携帯電話が通じない日があったのだけど&彼はとても困っていたのだけど、その様子を私とメイドさんに話してくれた彼は、「全くうちの妻はかわいいから。。。」といった調子で話していて、メイドさんと私は呆れた(笑)。

そんな彼が、クリスマスの夜に夫に電話をかけてきて、奥さんのお兄さんが事故にあったから今から現場に駆け付ける、とあわてていた。翌日も連絡しても連絡しても電話はつながらず、まぁその日は大した用事がなかったので私のほうもあまり気をもむこともなかったのだけれど、一体どうなってしまったんだろう、と思ったら夕方になってようやく彼から電話がかかってきた。「怒ってないから、明日ちゃんと来てね」というと、分かったという。分かったといっても来ないのがインド人。だから来ないことを半分頭の中で想定し、翌日(っていうか昨日ね)9時を待っていると、8時55分に電話がかかってきて到着したという。車に乗って話をいろいろ聞いてみると、クリスマスなので、お兄さんはカニャクマリから友達の車に乗ってムンバイまで出てこようとしたらしい。でもその途中でみんな酔っぱらってしまって、飲酒運転を友達がした挙句、大型トラックと正面衝突をし、無傷だったドライバーをよそに、お兄さんは手足を骨折し、おなかを強打し、病院に連れて行かれてしまった。でも、あまりに遠い病院だったので、Dharaviのそばにある病院に移送したのだけど、救急車代が4,500ルピーもしたので大変で、お兄さんのポケットを見たら500ルピーしか入っていなかった、ということらしい。彼にはクリスマスボーナスで1,000ルピーを渡してあったのと、クリスマス当日も働いてもらったので、チップで200ルピーを渡したのだけど、その夜の彼の全財産はそれらをあわせて1,500ルピーしかなかったそうで、4,500ルピーの救急車代が払えなかった、ということだった(で、どうしたのかはわからなかったけど、とにかく移送できたそうな)。

10,000ルピーのお給料をもらっている彼が、奥さんの面倒も見て(ちなみにそこから家賃として3,500ルピー払っているらしい)、奥さんのお兄さんの事故の面倒も見て、挙句の果てに昨日カニャクマリからご両親や親族が6人も出てきたので、その面倒もみなきゃいけなくて、って聞いたら、なんかもう、気持ちがずっしりした。奥さんのご両親が出てくるのに、一銭もないといけないのでは、と思って、昨日のお給料の一部を先に払ってあげようか、と持ち出したけど、彼は断った(断ってる場合じゃないだろ、とも思ったのだけど)。そういうところ、彼はいい人だなぁと思う。

ムンバイは、きっとそういう風にして回っている。稼いでも稼いでも、自分の生活だけではなく、親や義理の親や親せきや兄弟や、下手したらやくざ(スラムや路上生活は、往々にしてやくざが取り仕切っている)にだってお金を奪われていて、スラムの生活から抜け出るのは容易なことではない。でも、ちゃんと人として慎ましやかに、誠実に生きようとしている人たちもたくさんいて、だからこそ彼らの身の回りにあるそういうburdenを思うと、ぎゅっと心が重くなる。

写真は、維人とサッカーをしてくれる運転手さん。維人も美結も彼が大好きで、美結なんて彼に甘えっぱなしである。

IMG_5993-smaller.jpg
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コメント 2

圭子

精神的なpoorにはなりたくないわ~。本当にどうしたらそんな素晴らしい人格になるのかしら?親の教育、考えさせられるわ~。もちろん、私自身がちゃんとしないといけないんだけどね。常に心に余裕があって他人のことを考えることができるって、なかなかできないことだよね~。
by 圭子 (2012-01-24 18:00) 

tomomi

精神的なpoorって?ちなみにさ、運転手さんのお父さん、先週の土曜日に心臓発作で倒れてしまったんだよ。。(涙)一命はとりとめて、今日やっとICUを出て普通の病棟に移ったらしいんだけど、その病院代、一体だれがどうやって払うのか、考えただけでも恐ろしい。。。お父さんもね、苦労人なんだって。もうさ、運転手さんとメイドさんだけで、ドラマが書けそうだよ、私は(涙)。
by tomomi (2012-01-25 01:01) 

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