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壁を突破する時は [Kids]

私がムンバイに移り住むにあたって一番心配だったのは、維人と美結の学校生活だった。ずーっと日本語で育ち、日本語の保育園をあんなに堪能してきたふたりが、突然英語の学校に放り込まれたら一体どんな恐怖を味わうんだろう、そもそもどうやって子供は言語を習得し、日本語で言う「私」が英語の"I"に該当するということを理解するのだろう、と、考えては不安になっていた。周りの人たちは、「子供は適応能力が高いから」と言ってくださったが、その適応のプロセスが実感できなくて(私にとって言語は、どの言語であっても、studyして理解できるようになったものであったから)、ムンバイに来ても、学校が始まっても、ずーっと不安だった。

学校が始まって最初の2日は、維人も美結も大丈夫だった。週が明けた3日目、維人は朝学校で別れる時間になると、目に涙をいっぱいためるようになった。5日目、維人は声をあげて大泣きをし、「ママ、どこにも行かないでー」を繰り返すようになった。夜、寝付けない日があり、理由を聞いてみると、学校では英語が難しくて、維人の日本語を理解してくれる人が、美結とクラスメートの4人しかいない(維人のクラスにはひとり日本人の女の子がいて、美結のクラスにはひとり日本人の男の子がいる)から寂しい、と、声をあげて泣いていた。

来た。とうとう来た、この時が。あとは夫と二人で頑張って維人を支えていくしかない。維人には、これは誰しもが通るプロセスであることや、夫や私も通ってきた道であること、ここを抜けたらどんなに楽しい世界が待っているか、中野の保育園で一緒だったネパール人のお友達(この子は日本語が全く分からなかった)だって頑張っていたじゃないか、などなどを説明した。なんとか維人が勇気を持って毎朝を迎えられるように。

今週になって、じゃぁ、ママは学校のはす向かいにあるお店で待っている、ずーっとおうちにも帰らず、Daddyを送ったらそのお店に来て維人の学校が終わるまで本を読んで待っている、と約束したら、大声をあげて泣きわめいたりはしないようになった。目に涙をいっぱいためて、泣きながら、「ママ、バイバーイ」と朝、学校で別れることができるようになった。そうして、毎日迎えに行くと楽しそうに私の手をすり抜け、維人の初めての「英語」のお友達の、カレン君のところに走っていくようになった(でも、毎朝学校に行く前は泣き、ついたら目に涙をいっぱいためている)。

確かに、驚くこともたくさんある。維人は一日で1から20まで英語で覚えて帰ってきた。昨日、帰ってきたら学校で歌っている歌を英語で教えてくれた。今日は、エレベーターのおじさん(各エレベーターに運転手がいる)に英語で「こんにちわーー。5階お願いしまーす」と言っていた。

親にできることは、子供が壁にぶち当たった時、そばにいて、子供の心が折れてしまわないように、encourageし続けることくらいしかない。子供に代わってその壁を突破してあげることはできないし、そんなことをしたらその子供は二度と壁を自分で突破しなくなる。指をくわえてみているのは、しんどいけれど、そして言葉で書けるほど簡単なことではないけれど、そっと、しなやかに、注意深く、そばにいて、飛び越えていくのをensureしたい。

ところで美結は思った以上にオモシロく、誰かれ構わず日本語で話しかけ、覚えたての英語を度胸良く使いまくり、誰よりも学校をenjoyしている。決して媚を売っているわけではないけれど、うまいんだなぁ。人の心をつかむのが。自由人である美結は、自由を愛するインドや欧米の人たちにおおウケなのである。不思議や不思議。

写真は、インドの衣装、クルタ(維人)とプンジャビドレス(美結)。今週の木曜日に、学校でDiwali(インドで一番大きいお祭り)の催しものがあり、それに向けて全員インドの服で来るように、というお達しがあったので、買ってきましたー。

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きく蔵

上の子の気質、下の子の気質というのはたしかにあるよね。それにどうしたって、小さい子の方が物怖じのないぶん、環境に慣れやすいというのもあるし(うちも下の子の方がある意味、強い。笑)。
でも、ともさんたちがある意味、落ち着いてゆったりと構えていることこそが最大の励ましなんだろうなぁと、これを読んでいて思いました。大きな海原を行く小さい船たちの、帰れる港。帰れるところがはっきりしていれば、それだけ遠くまで行かれるのかもしれないね。見習わねば。
衣装に身を包んだこれとくんみゆちゃん、かわいいね。
by きく蔵 (2011-10-19 07:35) 

tomomi

きく蔵さん、ありがとうございます。そうなんです、気質の違いと、年齢の違い。維人の年齢では微妙にいろいろなことがわかっていて、美結にはわかっていない、そういうのもこの適応状況の違いに現れていると思います。でも、きく蔵さんに言われて、そうかぁと思いました。私たちが帰れる港になってゆったりと構えていることがきっと彼らの落ち着きのもとになるんですね。私も家のあれやこれやでキーーッとなりやすくなっているので(全然次元の違う話ですが)、もっとゆったりと安定的な環境を家の中に築きたいと思います。またいろいろアドバイスください!
by tomomi (2011-10-19 12:39) 

Nana

初めは心がイタイかもだけど、半年も経てば楽しんで行ってくれるよ~。瞭太はいまいちばん幼稚園が楽しいようで、日本人のお友達がいるのにドイツ人のお友達と遊んでいます。
言葉も親が特に教えなくても、ほんとに吸収力が早くて、すぐに覚えちゃう。いまでは「ママ、そのドイツ語間違ってる」って注意されるし。
その分、家ではい~っぱい日本語に触れさせてあげるといいかも。初めは(これちゃんたちの場合は英語)ドイツ語に触れることでプレッシャーとかいろんなものを感じて、瞭太は日本語を恋しがっていたなあ。だから、家では日本語に触れさせてあげるといいと思うよ。

by Nana (2011-10-19 15:54) 

ryotassa

読んでて、5歳でフロリダに移った時のことを思い出しました。

私も同じように、幼いときにブラジルに住んでたので、海外は二回目だったんです。でもブラジルでは日本人幼稚園だったので、マイアミが実質、外国語デビュー。

初日、やっぱりサッパリ分からなくて、家の階段に座ってすごく泣きました。

その時着てたのが、母が縫ってくれた、お菓子の柄のブラウスとスカート。楽しげな柄がみるみる涙で湿って、それで一層哀しく感じたのを覚えてます。

うちの母は言葉数が少なく、励ましてもらったような記憶は全然ありません。でも、洋服を作ってくれたり、どこでも変わらない料理を作ってくれ、いつもどこでも変わらないって存在でした。英語ちっとも話さないですし。(笑)

でも、それだけでもやっぱり親の存在ってホント心強いものです。
by ryotassa (2011-10-19 19:01) 

tomomi

Nanaちゃん、そうね、維人たちは日本の保育園のお友達が恋しいらしく、家で話す話題はたいてい保育園で昔あった出来事と、保育園で一緒だったお友達のことが多いかなぁ。一定期間後日本に帰るのだから、日本語は家でずっと触れている必要があるよねー。もう少し長い目でみようと思います!ありがとねー。
by tomomi (2011-10-20 14:05) 

tomomi

ryotassaさん、コメントありがとうございます。その時のこと、今でもよく覚えていらっしゃるんですね。私も、ryotassaさんがお母様に抱かれたような、温かい気持ちを子供たちに持ってもらえるよう、動じない、包容力のある母を目指したいと思います。
by tomomi (2011-10-20 14:07) 

圭子

読んでて涙が出そうになったよ。「来る時がきた」ってすごいリアルな言葉だよね。私も高校でホームステイをして言葉がわからない世界を体験したけど、子供はその状況を理解するのに時間かかるよね。簡単なことではないだろうけど、Tomomiさんと旦那様の愛で少しずつ克服していくんだろうね。それにしても、維人君と美結ちゃんの反応の差も興味深いね。美結ちゃんの度胸の強さ、日本人が見習うべきお手本だね(笑)!
by 圭子 (2011-10-22 01:33) 

あき

目頭が熱くなった。あの気遣い屋のこれちゃんが、新しい環境での悩みをともみさんにうちあけるまでの葛藤、理解、アクセプタンスと順応。まだまだ時間はかかると思うけど確実に一歩一歩成長してるね。子どもって、(私たちも皆そういう時期があったけど、対外記憶からなくなってる)そんなことあるの?っていうくら驚きのことをやってのけちゃうことがあるよね。一方美結ちゃんは元来の天真爛漫さを発揮しているところがほほえましい。

ところで、わたしも美結ちゃんと同じようなスーツをイスラマで買ったよ!ムンバイ行くときには是非着ていかないとね★

by あき (2011-10-23 12:08) 

tomomi

圭子さん。維人は早かったねー。その状況を理解したのが。美結は今もって理解してないのか?と一瞬頭をよぎるんだけど(笑)、まぁ、彼女も時々「なんとかちゃんとなんとかちゃんが美結の言っていることを理解してくれない」と言っているので、彼女なりに、維人のように表現はしなくとも、ストレスを感じているのかもしれないね。次のブログで書こうと思ってるんだけど、それでも維人は、維人なりにこの状況に向き合っていて、スゴイ偉いなぁと思います。ちゃんと、自分のことばっかりじゃなくて、子供のこと、守ってあげないといけないね。
by tomomi (2011-10-23 20:25) 

tomomi

あきさん。そう、気遣いこれちゃんだから言えないことがたくさんあって、最初のうち「学校楽しい」と言っていたのも無理してたのかなぁと思うと、涙出ちゃった。でも、良かったなぁと思うのは、維人のパーフェクトな笑顔が顕在であることと、瞳の輝きを失っていないこと。学校で書いた絵もね、素敵だったの。だからそういうの、ちゃーんと守ってあげないといけないね。うん、プンジャビドレス着て早く来てー(笑)。イスラマバード、どうだった?またメールで聞かせてね。
by tomomi (2011-10-23 20:58) 

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